ミトコンドリア・シミュレータ その2

by たけ(tk)

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ミトコンドリア・シミュレータ その1スクリプトの設定を変えると、 遺伝子の変異があった場合のその変異の様子や多様性をトレースすることが できます。  いくら変異があっても何世代か経てばその時点での多様性は無視されて、 誰か一人のイブの子孫になってしまうことは前のシミュレーションで明らか になっています。そこで、最初の状態では全員が同じ遺伝子をもつ女性だけ であると仮定し、変異によって多様性が生じる様子を見てみましょう。  シミュレータの設定は次のようにします。 $model = 0 $model_ichiyo = true # はじめに一様の遺伝子か、20種類か?。 $model_heni = 1 # 何世代に1回変異するか。0なら変異しない。 変異は1世代に1回起こるという仮定。変異の割合が多すぎるようにも見 えますが、これくらいの規模の集団だと、あっという間に単系化してしまう ので、これでちょうどよい程度です。 50世代目に集団が分離した、として、シミュレーションの出力を再構成 して、2個の集団の樹形図を作ってみました。 【集団Aの系統樹】 00 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 (44)┌V★─[55] │ (80)┌M○─[85] │ │ (85)┌R◎─────●8 │ (67)┌┴Y○─┴─◎─────●5 │ (79)│┌L○─[85] │ ││ (87)┌U◎─[95] │ ││ (89)├W◎─[95] │ (57)┌─K─┴┴─○─┴─◎─────●2 (36)┌M┴─★─┴──[65] │42┌S★───────[75] │ │ (78)┌J○─[85] │ │ │ (100)┌I●1 │ │ │ (97)┌F┴─●3 │ │ │ (90)┌X◎─┴───●1 (18)┌─T───┴─┴─★──────┴─○─┴─◎─[95] │ (38)┌─O──★─[55] │(29)┌F┴[39] │ │ (49)┌B★─[55] │ │(33)┌J┴─★─[55] A────┴──┴──┴───★─[55] 00 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 【集団Bの系統樹】 00 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 (78)┌H○─ (76)├D○─ (53)┌F───┴─○─ (44)┌V★─┴─ (36)┌M┴─★─ │ (66)┌S──○─ │ (58)┌K─┴─ │42┌S★─┴─ │ │ ┌I○─ │ │ │ (99)┌D●─ │ │ │ (96)┌┴A●─ │ │ │(89)┌──S◎┴─ │ │ (67)┌U┴─○┴───◎─ │ │ (65)┌┴R─ │ │ │ (88)┌R◎─ │ │ │ (85)┌┴O─ │ │ │ │ (93)┌X●─ │ │ │ (87)├─Q◎─┴─ │ │ │ │ (97)┌B●─ │ │ │ (80)┌┴─J◎─┴─●─ │ │ │ (86)├──P◎─ │ │ │ (90)├──T◎─ │ │ │ │ (100)┌E●─ │ │ (54)┌G┴────○┴───◎─┴─●─ (18)┌─T───┴─┴─★─┴─ │ (38)┌─O──★─ │(29)┌F┴[39] │ │ (57)┌J─────○─ │ │ (49)┌B★─┴── │ │(33)┌J┴─★─ A────┴──┴──┴───★─ 00 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 ★ 50世代目の段階では、当初のイブの遺伝子「A」が変異しないまま で残っていました。 「A」から1回変異した 「J (A)」と 「T( A)」、2回変異した「B(J)」と「O(F)」と 「S (T)」と 「M(T)」、3回変異した「V(M)」の8個の遺伝的多様性があり ました。  この時点で、現在する遺伝的多様性から「イブ」を求めれば本来の 「A」が見つかるはずでした。ところが、その後、「A」「J」「B」 「O」の子孫は断絶してしまい、100世代目には、両集団の全員の 共通の祖先は「T」に代ってしまいます。 ● 100世代目の状態では、集団Aの全員の共通のイブは「T」です。 ところが集団Bのイブは「T」から変異した「G(T)」になっていま す。いずれにしても、両集団をあわせて考えればイブは「T」であると いうことになります。
 上の図を見ながら感じたことを整理してみましょう。 (1)まず、「イブ」は本物であるとは限らない。 100世代目の現状から見て復元できる「イブ」は「T」ですが、両集団 が分離した時点での「イブ」は「A」だったのです。  (2)断絶が多い。 両集団が分離した時点で存在した「A」「J」「B」「O」の系統の子孫 は断絶してしまっています。両集団ともに断絶してということは人数が少な かったのでしょう。  集団Bでは80世代目あたりでは「V」系が3系統の多様性を誇っていま したが、90世代目には3系統とも断絶してしまっています。  (3)「遺伝的距離」は「分岐時期」を推定する根拠とはならない。  集団Aの次の部分を見てください。「I」と「X」との間の遺伝的距離は 2なのです。この遺伝的距離から分岐時期を推定すると、どれくらい前に分 岐したと推定するでしょうか?。しかし、それが分岐したのは実際には4世 代前でしかないのです。 │ │ │ (100)┌I●1 │ │ │ (97)┌F┴─●3 │ │ │ (90)┌X◎─┴───●1 * この部分についての補足(ミトコンドリア・シミュレータ その3)。
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