『仮名に濁音がない理由』

たけ(tk)GGB03124@nifty.ne.jp談話室


2000-05-20(土):本文追加。
2000-05-13(土):公開(ニフティのログのみ)
1999/11/27    :ニフティの日本語フォーラム(nifty:FNIHONGO/MES/09/1471)
1999/08/22    :ニフティの古代史フォーラム(nifty:FREKIJ/MES/02/2653)


たしか・・、ひらがな、カタカナには濁音がないですよね。 英語だと清音の文字「k」「s」「t」「p」と濁音の文字「g」「z」 「d」「b」とは別の文字になっています。 疑問に感じたことはありませんか?。(普通は疑問に思わないか・・、(^^;) カナには濁音文字がないことに加えて、昔は濁点をつける習慣もなかった ようです。古文などで、濁点抜きのわかりにくい文章に悩んだことがありま すよね。 【音としての濁音はあった】 片仮名も平仮名も、平安初期(9世紀)に成立したもののようです。では、 その当時の日本語には濁音がなかったのでしょうか?。 答えは「否」です。 日本書紀(8世紀?)の音訳漢字を見ると、ちゃんと濁音用の漢字と清音 用の漢字とが使い分けられています。 【音韻としての濁音もあった】 では、仮に濁音があったとしても、「連濁」のように単なる発音上の問題 であって、単語を区別する機能がなかったので、文字とてして書き分ける必 要性が少なかったのでしょうか?。 日本語の「連濁」と呼ばれる現象で現われる濁音は、実質的には清音と同 じ音韻というべきかもしれません。たとえば、「あま(雨)」+「かさ(傘) 」 →「あまがさ(雨傘)」の「か」と 「が」とは実質的に見れば同じ音 (同じ 音韻)、ともいえそうです。 * 朝鮮語・韓国語でも「連濁」に似た現象で濁音になります。たとえば、 「キム」+「テ」+「チュン」→「キムデジュン」。 現代日本語的に考えると、 または英語の例で考えても、 濁音と清音とが 「違う音」というのは当然のような気がします。しかし、世界には濁音と清 音とを「違う音」とは聞き取らない言語が有ります。中国語と朝鮮語がそれ にあたります。(p.87『言語学』大江孝男、放送大学テキスト、1999)。 では、カナに濁音がないのは、昔の(日本書紀あたりの時期の)濁音が、 そのような 「連濁」のような現象によって説明できるものだからでしょう か?。 この答えも「否」です。当時の日本語には既に、 清音: k(開ける)、s(粕)、t(至す) 、h(煽る) 濁音: g(上げる)、z(数)、d(い出す)、b(炙る) などの様に清音/濁音で区別される語が多数見られます。したがって、単語 を区別するという音の機能からみた音=音韻=が、清音/濁音で異なること は明らかです。 【非日本人的な音韻意識の産物である】 では、なぜ、カナに濁音がないのでしょうか?。 もし、日本人が日本語的な音韻意識で、万葉仮名(濁音と清音とを使い分 けた音訳漢字)を参照しながら、カナを作ったとしたなら、濁音仮名が作ら れないというのは考えにくいと言わざるをえません。 そこで、当時の文字文化の担い手を検討してみる必要がありそうです。 片仮名も平仮名も、平安初期(9世紀)に成立したもののようです。それ 以前の状況はといいますと、 「漢字は当初は中国・古代朝鮮から渡来した人々によってもたらされ、 書記活動ももっぱら彼らに依存していた。その後、わが国の人も漢字の 学習を始め、 漢字の3要素としての 「形」には隷体、「音」としては 字音、「義」としては訓、というように、漢字に音訓の二様の理解の仕 方を体系化した。このことが、漢字を用いて国語文を書くことを可能に もした」(p.54『国語学概論』) というものです。 上の『国語学概論』の書き方では「わが国の人」とありますが、彼らが生 粋の日本語スピーカであったかどうかについては疑問があります。というの は、白村江の敗戦の後、大量の韓語スピーカや、韓半島にいた倭人が奈良盆 地に居住しており、 xxによると当時の奈良盆地の住人のxx%が渡来系 (出戻り倭人を除く)であったとされています。かれらの日本語とは、日本 語を学んだ韓語スピーカの日本語であり、韓語と日本語のバイリンガル状況 で育った人々の日本語というべきものでしょう。その「日本語」が平安時代 以前の日本の文化的中心地=奈良盆地=の日本語の主流であったとも考えら れるのです。 しかも、文字文化の教育機関である「音博士」とか「大学」では中国系・ 韓半島系の人々が指導的地位にあったのです。「日本人」は彼らから「日本 語を文字(漢字)で表現する方法」を学んだわけです。 したがって、カナに濁音がない理由として、中国系、韓半島系の人々の言 語の音韻意識=濁音と清音とを区別しない=が反映している可能性は大いに 考えられます。 【中国語系の濁音意識】 『日本の古代・14・ことばと文字』(森博達、中公文庫)p.162 以降に、 日本書紀α群の表記につき「バ」と「マ」、「ダ」と「ナ」の書き分けが行 われていない、とか、「日本語の濁音音節を清音の漢字で表すという誤用」 があり「これらは日本人ならば清濁を誤るような難しい語彙ではない。日本 語に十分熟達していない中国人が犯した誤ちと見るのが穏当であろう」とあ ります。 当時の中国語の濁音の状況は、 (1)日本語の濁音のうち有声濁音の音訳に適する中国語の全濁音字が、 日本語の濁音の音訳に適さない次清音に変化し、 (2)日本語の濁音表示に適さない次濁音が日本語の渡り濁音に適する中 国語の鼻濁音に変化しつつある段階だった。 という不安定な状況だったようです。 ともあれ、中国語には濁音・清音があります。 【韓語系の濁音意識】 『古代朝鮮語と日本語』(金思{火華}、明石書店)p.144 には 「第一期 (新羅の三国統一以前まで)・・中世語において古代のある時期に有声(濁 音)対無声(清音)の対立が存在していたと思われる痕跡」があるとしてい ます。しかし、これは p.127 の「間隙同化−−現代語において、 無声閉鎖 音が有声音の間に来ると、それが有声音に同化して表わされる現象」のこと のようです。 「間隙同化」というのは現代韓国語では次のように説明されます。 『「平音」は語頭では無声音で、日本語の語頭の清音・半濁音を少しソ フトに発音すればよく、語中(有声音間)では有声音、つまり日本語の 濁音になります』( 『スタンダードハングル講座1』p.10)。 『しっかり学ぶ韓国語』p.28にはもう少し詳しく、というかちょっと異なる 説明があります。 (一部のみ)。 発音ルール2 濁点はないけれど「・・(平音の濁音化) 平音K、T、P、Cは、語頭では常に清音で発音されますが、次のよう な場合、語中で濁音になります。 例1。母音の間にはさまれたとき (1) K:KA-KOI・店[カーゲ]YO-KI-KA・ここが[ヨギガ] (2) T:PA-TA・海[パダ] PA-TA-TO・海も[パダド] (3) P:NA-PI・蝶[ナビ] YO-PO-SOI-YO・もしもし[ヨボセヨ] (4) C:KA-CI・なす[カジ] KA-SI-CYWO・行きましょう[カシジョ] 例2。N、M、R、NGパッチムのあとに続くとき (1) K:NAR-KAI・翼[ナルゲ] (2) T:TWOR-TA-RI・石橋[トルダリ] (3) P:KAR-PI・あばら骨[カルビ] (4) C:KAM-CA・じゃがいも[カムジャ] これらは、「発音ルール」として理解されており、日本語の連濁がもっと規 則的に表れる発音上のクセと見なされています。韓国語の「音韻」の違いと は見られてはおらず、単語を識別する機能もありません。 * 韓国語では濁音・清音の区別ではなく、平音(無気音)・激音(有気 音)・濃音(喉頭化音)という区別をします。 したがって、韓国語では濁音は音韻の区別ではなく、文字として区別すべ きものではないものとなります。 このような韓国語の音韻意識から日本語の濁音をみると、「連濁」(「間 隙同化」と類似のもの)であって、文字を書き分けるべきモノではないと見 えることになります。実際、日本語には連濁がありますから、全く外れとも 言えない、というのが困ったことです・・。 【結論】 以上の状況から見て、カナに濁音がないのは、白村江以降に大量に居住し ていた韓半島系の人々の音韻意識の反映、という可能性が高いとは言えない でしょうか?。
【音韻】 「音韻」というのは、ある特定の言語(たとえば日本語や英語)で「ある べき姿として想定された音の体系」を意味します。(p.30『国語学概論』杉 浦克己、放送大学テキスト、1998)。たとえば、「長い」を小声でささ やいても、大声で怒鳴っても、裏声で言っても、(物理的に分析した音声と しては相当異なるにもかかわらず)、日本語の「音(音韻)」としては「な・ が・い」という3個の「音(音韻)」であると理解されます。聞き手として は、そのような音声的な違いを無視して同一の音(音韻)として聞くとるこ とによって初めて、発言者の意図を知ることができます。 それに対して「なかい」のように言った場合には、(「ながい」と音声的 にはよく似ているにもかかわらず)、聞き手は「長い」という意味であるこ とを読み取ることはできません。「か」と「が」とは別の音韻だからです。 別の音韻で構成された単語は、基本的には別の単語になってしまいます。 * 音の要素・最少単位をどういう概念で捉えるべきかについては、他に、 「音素」とか「モーラ」とか、いろいろありますが、省略します。ここ では、物理的に分析された音(音声)と機能的に分析された音(音韻) とが異なることだけに注目します。
nifty:FREKIJ/MES/02/219 219/222 KFA03002 kikkawa 帰化人について ( 2) 97/09/12 19:10 214へのコメント 古代氏族の出自に関する基本史料としては、弘仁6(815)年成立の『新撰姓氏録』が 有名ですね。旧古代日本史の#2051(95/03/13)「国王の条件 続きの続き」で紹介し ました。 この書には、左京・右京・山城・大和・摂津・河内・和泉の1182氏の由来が記され ています。 “皇別”(天皇から分かれる)・“神別”(神代に分かれる)を祖先とする氏の他に、 “諸蕃”(帰化人)とする氏が沢山います。「群書類従」本で数えてみると以下の通り です。この他に、“未定雑姓”(申告内容が疑わしいとされるもの)にも、諸蕃が出自 とする氏族もかなりいるので、それも合わせると全体の約3割に及びます。 漢 百済 高麗 新羅 任那 左京 39 14 15 1 3 右京 44 45 9 3 0 山城 9 6 5 1 1 大和 11 6 6 1 2 摂津 13 9 3 1 3 河内 36 15 3 1 0 和泉 11 7 1 0 0 計 163 102 42 8 9 324氏/1182氏=27%
- FREKIJ MES( 2):【古代】古代の謎を解く/先史〜飛鳥・奈良 98/05/02 - nifty:FREKIJ/MES/02/2653 02653/02654 GGB03124 熊谷秀武 カナに濁音が無い理由 ( 2) 99/08/22 22:25 02612へのコメント たしか・・、ひらがな、カタカナには濁音がないですよね。英語だとkと g、sとz、tとd、hとbは別の文字になっている。しかし、カナでは区 別されていない。濁点を付けて区別する風習もなかったみたいですよね。 これはカナを作った段階、使う段階では濁音と清音とを別の音韻として意 識していなかったことを意味する。 ところが、当時の日本語の音韻体系としては、kとg(開ける、上げる)、 sとz(少し、過ごし)、tとd(至す、い出す)、hとb(煽る、炙る) とが別の音韻であったことは明らか。 * 万葉がなの段階では濁音の万葉がな(漢字)と清音のそれ(漢字)と は区別されていた。これは音価を表示したもの。 では、なぜ、濁音のカナが作られなかったのか?。 一つの理由としては、濁音は、独立の音韻として現れる場合と、清音の発 音上の変異(濁音便)で生じる場合とがある、ということが挙げられる。 しかし、それだけではカナ表記で濁音を無視する理由にはならない。 表記において濁音を無視するということは、《すべての濁音は清音の発音 上の変異(濁音便)で生じたものである》という意識に基づくものでなけれ ばならない。 で・・。《すべての濁音は清音の発音上の変異(濁音便)で生じたもので ある》という特徴は、現在の朝鮮語の特徴でもある。(おそらく当時の韓語 でも同じ)。 従って、日本語の文字表記は、韓語的な音韻の規範意識に基づいていた。 と考えるわけです。 * 『日本の古代、14、ことばと文字』p.164、 「濁音仮名に用いられ た全清音字」は中国語のネーティブスピーカが日本語の濁音をよく理解 していなかった、という論考、なので、似ているがちょっと違います。 * 8母音も、韓語的な音韻の規範意識に基づいていたために生じた現象 である。と言いたいわけです。 熊 谷 秀 武 http:://member.nifty.ne.jp/take_tk
nifty:FNIHONGO/MES/09/1471 - FNIHONGO MES( 9):【日本語学】--- 日本語研究・方言・言語学 99/12/05 - 01471/01471 GGB03124 たけ(tk) 濁音の原形は? ( 9) 99/11/27 21:33 01439へのコメント 宮澤 俊雅 さん、こんにちは、熊谷です。レスありがとうございました。 》 #00861 ご参照ください。 「ん」の問題からちょっとずれてしまいますが、濁音の原型についての、 たけ(tk)の見解がちょっと異なるので述べておきます。 現代日本語の濁音の原形としては A. 「わたり音」が後続の子音の前に付く B. 声帯振動の有無(有声か無声か) の2通りが考えられる。(※1) 日本書紀の音訳においては漢字の全濁音字が使われているので(※2)、 720年の時点で既に『B.声帯振動の有無(有声か無声か)』による濁音 であったと思われる。 * 濁音字の前の字に「わたり音」を表現するための子音韻尾字を使用す ることが出来るはずだが(『倭人の登場』p.194)、そうはしていない。 (と思う)。 日本語の濁音は、中国人にとっても聞き分けが難しかったらしい。(『こ とばと文字』p.162)。 8母音発生に影響を与えたと考えている古代韓語の「言語の実際について 見ると、(全濁音と全清音とを)区別した痕跡は見当たらない」。(※3) これらのことから、たけ(tk)としては、 (1)7〜8世紀の時点の日本語の全濁音は『B.声帯振動の有無(有 声か無声か)』による濁音であったが、 (2)奈良盆地に入ってきた大量の韓語のスピーカにとっては濁音の発 音は難しかったために、「わたり音」的な発音が日本語にも混じ るようになった、(アイヌ語の例=※1)、 つまり、濁音→わたり音、と考えています。 ● この部分(1)(2)は誤りでした。ただし、濁音カナの不発生とい う本論とは関係ないと思う。2000-05-13(土) さらに、 (3)仮名において濁音の文字が作られず、濁音記号も使用しないとい う表記法が長らく採られることになった理由も、全濁音と全清音 とを区別しない韓語スピーカーの音韻意識に影響されたものであ る。 と考えています。 》- FREKIJ MES( 2):【古代】古代の謎を解く/先史〜飛鳥・奈良 98/05/02 - 》02653/02654 GGB03124 熊谷秀武 カナに濁音が無い理由 》( 2) 99/08/22 22:25 02612へのコメント −− ※1 日本語からアイヌ語への借用語では、日本語「濁音」←→アイヌ語 「わたり音」となる。 黄金 小袖 釘 小豆 日本語 ko gane koso de ku gi a duki アイヌ語 konkane kosonte kunki antuki 菅野辞典 p.250 p.238 p.220 p.220 ※2 『日本の古代、14、ことばと文字』p146+学研漢和辞典 【日本書紀で使われている中古全濁音字】 辞典 上古 中古 α群 β群 声類 ブ 父: 0808 bIuag bIu ◎ 奉 ビ1 備: 0091 bIu∂g bIui ◎ 並 ボ 煩: 0798 bIuan biuΛn ◎ 奉 ブ 歩: 0687 bag bo ◎ 並 デ 弟: 0432 der dei ◎ 定 デ 提: 0543 deg dei ◎ 定 ジ 士: 0291 dzi∂g dziei ◎ 崇 ゾ2 鋤: 1379 dziag dzio ◎ 崇 ゾ2 {金尊}:1391 dzu∂n dzu∂n ◎ 従 ヅ 頭: 1474 dug d∂u ◎ 定 ヅ 逗: 1319 dug d∂u ◎ 定 ヅ 豆: 1244 dug d∂u ◎ ◎ 定 グ 具: 0117 gIug gIu ◎ 群 ブ 夫: 0311 pIuag pIu ◎ 奉 ザ 蔵: 1130 dzang tsang ◎ 従 ザ 奨: 0318 tsiang tsiang ◎ 従 ゼ 筮: 0963 dhiad ZIEi ◎ 常 ゼ 噬: 0253 dhiad ZIEi ◎ 常 ゾ2 叙: 0198 diag zio ◎ 邪 ゾ2 序: 0417 diag zio ◎ 邪 ズ 受: 0197 dhiog ZI∂u ◎ 常 ※3: 金思{火華}『古代朝鮮語と日本語』 p.107 より、 全濁音・・これらの字類の性格はすこぶるあいまいである。東国韻類式 の漢字音の例を見ると、全清音とは厳格に区別されているが、言語の実 際について見ると、このような区別した痕跡は見当たらない。このよう に現実的には非弁別的であるものを、対立音素として設定したのは、中 国韻学を模倣したことによるものである。 熊 谷 秀 武 http://member.nifty.ne.jp/take_tk
01473/01473 PXU04104 КОЛЯ RE:濁音の原形は? ( 9) 99/11/28 00:22 01471へのコメント たけ(tk)さん、こんにちは。 〉 (2)奈良盆地に入ってきた大量の韓語のスピーカにとっては濁音の発 〉 音は難しかったために、「わたり音」的な発音が日本語にも混じ 〉 るようになった、(アイヌ語の例=※1)、 「韓語のスピーカ」の「日本語」への影響は、母音の音韻体系には 及ばなかったが、濁音の音価には影響を与えた、との理解で よろしいでしょうか? 〉 (3)仮名において濁音の文字が作られず、濁音記号も使用しないとい 〉 う表記法が長らく採られることになった理由も、全濁音と全清音 〉 とを区別しない韓語スピーカーの音韻意識に影響されたものであ 〉 る。 平安中期以降も「韓語スピーカー」の音韻意識(による表記法)が 化石的に残った、との説でしょうか。 母音体系についてのたけ(tk)さんの考え方を一貫させると、 傍目には、 清濁の書き分けは韓語スピーカーの影響を受けた一時的なもので、 清濁の違いを意識しないのが日本の主流であった。 となりそうですが、そうではないのでしょうか。 ちなみに私は、……清濁についてはさっぱり意見が纏まりません(-_-) КОЛЯ (PXU04104)
nifty:FNIHONGO/MES/09/1474 01474/01475 GGB0314 たけ(tk) RE:濁音の原形は? ( 9) 99/11/28 15:53 01473へのコメント КОЛЯ さん、こんにちは、熊谷です。レスありがとうございました。 》 「韓語のスピーカ」の「日本語」への影響は、母音の音韻体系には 》及ばなかったが、濁音の音価には影響を与えた、との理解で 》よろしいでしょうか? 書き方が悪かったかもしれません。次の通りです。 (1)「韓語のスピーカ」の「日本語」への影響は、母音の音韻体系にも 一時的に影響を与えた。(5母音→8母音→5母音)。 (2)「韓語のスピーカ」の「日本語」への影響は、濁音の音価にも一時 的な影響を与えた。(有声濁音→わたり音濁音→有声濁音)。 * 現代日本語の濁音は有声濁音ですよね?。 影響を受けた「日本語」というのは、どちらも、日本列島の日本語の全体 (メインストリーム)という意味ではなく、朝鮮半島→奈良盆地→京都とい った一部地域の日本語に影響を与えた、という意味です。 》 平安中期以降も「韓語スピーカー」の音韻意識(による表記法)が 》化石的に残った、との説でしょうか。 これは、そうです。 》 清濁の書き分けは韓語スピーカーの影響を受けた一時的なもので、 》 清濁の違いを意識しないのが日本の主流であった。 あ、これは万葉がな(漢字表記、清濁が区別されている)ではなく、平仮 名、片仮名の話です。平仮名、片仮名では清濁の文字は区別されていないし、 濁点を付けて区別する風習もなかったですよね?。よって、次のように変更。 (3)平仮名、片仮名において濁音の文字が作られず、濁音記号も使用し ないという表記法が長らく採られ、清濁の書き分けをしない理由も、 濁音と清音とを区別しない韓語スピーカーの音韻意識の影響を受け た一時的なものである。(後代には濁点を付けて区別するようにな る)。 (4)実際の会話においては、清濁の違いを意識していたはずである。清 濁の違いを意識しないで日本語を話すのは困難。 当時の日本語といえども、k音とg音(開ける、 上げる)、 s音とz音 (かさむ、風見)、t音とd音(至す、い出す)、h音とb音(煽る、炙る) とが区別されていたと思う。「この箱《あけよ》」が「この箱《上げよ》」 であるか「この箱《開けよ》」であるかの区別は清濁によるものなので、清 濁を意識しないで日本語を話すのは困難だったと思う。 つまり、会話においては清濁を区別していたが、記述においては清濁を区 別しなかった。ということ。 現在の朝鮮語には《清音子音と濁音子音の区別はなく、清濁の発音上の違 いはすべて濁音便による》という特徴があります。(※1)。たぶん、当時 の韓語でも同様だったと思います。従って、「韓語スピーカー」の音韻意識 によれば、《文字表記においては清濁を区別しないのが正しい》という表記 法が成立します。 》 母音体系についてのたけ(tk)さんの考え方を一貫させると、 あそうか、「母音については一時的に増えた」となるので、「子音につい ても一時的に増えた」となるはず。ということですか?。 たけ(tk)としては、母音について「原日本語は5母音だったのに、8母音 の韓語の影響で一時的に増えた」のと同様に、濁音についても「原日本語で は区別していたのに、清濁の区別をしない韓語の影響で一時的に表記上区別 しなくなった」という具合に一貫しているつもりでした。 −− ※1 『基礎朝鮮語』(大学書林、宋枝学)より 【子音の発音】p.18 のうち濁音関係を抽出して表にしたもの。 ハングル → 語頭 語中 語末 母音−母音 母音−無声子 母音−有声子 k [フ] k g k ng t t d t t n p p p b p m s [人] s t s t ch [ス] z t Z t n 【連音と絶音】p.67 単語を発音する時に、語音のあいだで発音される場合と、されない場 合とがあります。語音を中間で中断しないで、つづける現象を連音とい い、中間で中断してから発音する現象を絶音といいます。 語音の綴りが同じであっても、連音と絶音の場合は発音が異なります。 例をあげると ハングル 発音 (意味) nam-pi → nam-bi (なべ) 連音 pwom-pi → pwom-p'i (春雨) 絶音 の場合<m-p>が連なっていますが、連音の場合は<pi>( bi)となり ますが、絶音の場合は<ppi>(p'i)と発音されます。 * 「ハングル」の「グ」は濁音になるが「han (韓)」+ 「kwl (文章、語、文字←→くち?:日本語)」であり、 「kwl」は単 体では清音。 * 濁音便は日本語にもあるが、朝鮮語の場合には、《清音子音と 濁音子音の区別はない》ので、《清濁の区別はすべて濁音便によ る》ということになる。 * ハングルのアルファベット表記は、たけ(tk)流です。字形から単純に 変換しているだけであり、実際の音とはかけ離れている可能性が高いで す。m(_ _)m ● この宋枝学さんの引用にはいろいろクレームがつきました。「連音」 と「絶音」というのはどちらも「前の単語の末尾子音のあとに、母音で 始まる単語が来た場合」の問題というのが一般的な理解だ、とのことで す。 熊 谷 秀 武 http://member.nifty.ne.jp/take_tk
01479/01479 PXU04104 КОЛЯ RE^2:濁音の原形は? ( 9) 99/11/28 23:54 01474へのコメント たけ(tk)さん、こんにちは。 〉 影響を受けた「日本語」というのは、どちらも、日本列島の日本語の全体 〉(メインストリーム)という意味ではなく、朝鮮半島→奈良盆地→京都とい 〉った一部地域の日本語に影響を与えた、という意味です。 平安時代の京都(注)では、表記上、5母音で清濁の区別をしません。 (一部の学者を除く) そこで、京都は「一部」なのか、「メインストリーム」なのか、 という疑問があったわけです。 (注)私の知る範囲、12世紀からは確実ですが、たぶんもっと前からもう 区別していないと思います。 でも、11世紀より前の資料って、お寺関係しか残ってないんですよねー。 お寺関係には区別したものがあります。 〉》 平安中期以降も「韓語スピーカー」の音韻意識(による表記法)が 〉》化石的に残った、との説でしょうか。 〉 〉 これは、そうです。 了解。 〉 つまり、会話においては清濁を区別していたが、記述においては清濁を区 〉別しなかった。ということ。 了解。 〉 あそうか、「母音については一時的に増えた」となるので、「子音につい 〉ても一時的に増えた」となるはず。ということですか?。 いえ、「一時的」を“8世紀頃まで”と(私が)捉えていたために、 清濁の書き分けをしない時期が「一時的」とは思えなかったということです。 話は変わって、朝鮮語。 〉 語音の綴りが同じであっても、連音と絶音の場合は発音が異なります。 〉 例をあげると 〉 ハングル 発音 (意味) 〉 nam-pi → nam-bi (なべ) 連音 〉 pwom-pi → pwom-p'i (春雨) 絶音 日本語(現代共通語)の清音vs濁音は、無声vs有声ですが、 朝鮮語(現代韓国語)でそれに当たるものは、平音vs濃音だと 私は考えているのですが、いかがなものでしょうか? (>野田さん、5HPONGOさんそのほかの方) 勿論、平音vs濃音は無声vs有声とは違う原理です。 → nam-pi → nam-bi (なべ) 連音=平音のまま → pwom-pi → pwom-p'i (春雨) 絶音=濃音化 春雨の発音を「pwom-p'i」とされてますが、#01475を参照すると、 「pwom-ppi」だと思いますが、……古代語?(^_^) ** 「pom-p'i」とローマ字で書いてありました。著者の激音記号は「`」 で、濃音記号は「?」の下の点が無いもののようで、「'」は不明。 ** ハングル変換ローマ字は大文字で書く。発音記号と区別するために。 ** 激音記号は「`」とする。 ** ハングル「P」の発音を誤解していたかもしれない。発音記号で p, b を使い分けていたので、パ、バの区別と思い込んでいた。PU-MWO〔 pu-mo〕(父母)のフリガナが 「ブモ」、 TU-PU〔tu-bu〕 (豆腐) 「トブ」と書いてあるので、 日本語風の発音では〔p,b〕の区別なく 「バ」行になるのか?。 КОЛЯ (PXU04104)
01519/01522 GGB03124 たけ(tk) RE^2:濁音の原形は? ( 9) 99/12/05 16:07 01479へのコメント КОЛЯ さん、こんにちは、熊谷です。 レスありがとうございました。 というか、即日レスをいただいたのに、遅れてすみませんでした。 》 そこで、京都は「一部」なのか、「メインストリーム」なのか、 》という疑問があったわけです。 》 いえ、「一時的」を“8世紀頃まで”と(私が)捉えていたために、 》清濁の書き分けをしない時期が「一時的」とは思えなかったということです。 8母音→5母音という発音の変化と、清濁の書き分けという表記法の変化 (濁音記号の出現)というのは「一時的」の意味がだいぶ違うだろうと思っ ていました。 発音の変化と言うのは、あまり自覚的ではないし、育った環境の回りの人 の発音に影響されることが大きいので、1世代で戻ってしまう可能性がある。 しかし、表記法というのは、《文字にするという意識的行動には、特殊で 強い規範意識が働く》し、《必ずしも発音通りではない(のが当然であると 意識されている)》ので、なかなか発音通りには戻らない。ドイツ語訳の聖 書の影響の強さを見てもわかるように、文献化された資料の影響は一地域を 越えて全国的に広まる。表記法の変化は、たとえば「言文一致」運動のよう な社会運動に支えられなければ変化しにくい。 というように、大きく異なっているのではないかと想像しております。 * 濁点はいつ頃の文献から現れたのか?。 −− 》〉 ハングル 発音 (意味) 》 ・・ 》→ nam-pi → nam-bi (なべ) 連音=平音のまま 》→ pwom-pi → pwom-p'i (春雨) 絶音=濃音化 》 》 春雨の発音を「pwom-p'i」とされてますが、#01475を参照すると、 》「pwom-ppi」だと思いますが、……古代語?(^_^) 書き方が悪くてすみません。左の 「pwom-pi」はハングルで書いてあった ものですが、右の「pwom-p'i」はアルファベットで書いてあったものです。 (・・て実際には「pom-p'i」と書いてありました)。したがって、「pom-p 'i」は『基礎朝鮮語』の著者の宋枝学さんが使っている発音記号ということ になります。そこで、記号の意味を調べてみたのですが、宋枝学さんの激音 記号は「'」の逆さ記号( 「6」の中を塗り潰して小さくして上の方に置い たもの)で、濃音記号は「?」の下の点が無いもののようでした。「pom-p'i」 の部分では逆さでない「'」が使われていました。「'」の意味はよくわかり ませんが、「<PPI>(p'i)と発音されます」とあるので、КОЛЯさんの ご指摘のように濃音化の意味で使っていたのかもしれません。 発音記号との違いが紛らわしいので、今度からは、元の字がハングルの場 合には大文字で書こうと思います。この方針で問題の部分を訂正すると、次 の通りになります。 》 ハングル 発音 (意味) 》 NAM-PI → 〔nam-bi〕 (なべ) 連音 》 PWOM-PI → 〔pom-p'i〕 (春雨) 絶音 》 の場合<M-P>が連なっていますが、連音の場合は<PI>( bi)となり 》 ますが、絶音の場合は<PPI>(p'i)と発音されます。 ┌┐ ├┤ * 大文字は元はハングル。<M-P>も<└┘−└┘>。 * 発音記号は〔〕でくくる、とかいうお約束とかはあるのでしょうか?。 》 日本語(現代共通語)の清音vs濁音は、無声vs有声ですが、 》朝鮮語(現代韓国語)でそれに当たるものは、平音vs濃音だと 》私は考えているのですが、いかがなものでしょうか? 》 勿論、平音vs濃音は無声vs有声とは違う原理です。 たけ(tk)としては、音韻の考え方が異なる言語間で、相手の言語の発音が どのように聞こえるか、というバイリンガルな状況に興味があります。 日本人が韓国人の発音を聞いた場合には、韓国語の平音は語頭にあれば日 本語の清音に聞こえ、語中にあれば濁音に聞こえる。濃音であればどこにあ っても清音に聞こえる。ということになると思います。 で、知りたいのは、その逆でして。韓国人が日本人の日本語を聞いたとき にどのように聞こえるのか、なのですが、ちぃとわからない面があります。 宋枝学さんの本をみていると、ハングルのPは「日本語の<バ>行に似て います」として、例として「 〔ブモ:振り仮名〕 PU-MO(ハングル)〔pu-mo:発音記号〕(父母:意味) 」などを挙げています。語頭にある<P:平音>もすべて<バ>行で仮名を 振っています。これは多分、宋枝学さんが 日本語の清音vs濁音≒韓国語の濃音vs平音 といった理解(誤解?)をしているためではないか思うんです。しかし、日 本人が仮名を振るとすれば〔プモ〕としか振れませんよね。 それやこれやから考えて、奈良・平安の時代に日本人に文字の書き方を教 えた韓語スピーカ達にとっても日本語の濁音は不可解なものであり、それが 昂じて《文字表記においては清濁を区別しないのが正しい》という考え方に なってしまったのではないか、と想像するわけです。 熊 谷 秀 武 http://member.nifty.ne.jp/take_tk
01526/01526 CXJ04751 野田 雄史 RE:RE^2:濁音の原形は? ( 9) 99/12/06 20:39 01519へのコメント たけ(tk)さん、こんばんは。 >語頭にある<P:平音>もすべて<バ>行で仮名を >振っています。これは多分、宋枝学さんが > > 日本語の清音vs濁音≒韓国語の濃音vs平音 > >といった理解(誤解?)をしているためではないか思うんです。しかし、日 >本人が仮名を振るとすれば〔プモ〕としか振れませんよね。 よく、韓国語の 激音/平音 の対立を日本語の 清音/濁音 にスライド させる考え方があります。 これは中国語の音を考えるときにも使われます。 * Beijin か Pekin か。 いずれも、濁清(有声無声)の対立がなく、有気無気の対立がある言語です。 中国語のピンイン表記は、例えば有気音を T で書けば無気音を D で書き ます。 韓国語でもそのように書く例がいくつかあります。 英語風表記法もその一つで、 「現代」は「hyundai」、「大宇」は「daewoo」となります。 日本語の清音=無声音は、一応は無気音ということになってますが、 語頭など場所によっては有気音になることがあります。 有気無気の対立を持つ言語の人は、それをちゃんと聞き分けるそうです。 一方、韓国語の平音=無気音は、一応は無声音ということになってますが、 語中など場所によっては有声音になることがあります。 有声無声の対立を持つ言語の人は、それをちゃんと聞き分けるそうです。 野田雄史 CXJ04751@nifty.ne.jp http://member.nifty.ne.jp/lisai/nd.htm
01482/01515 RXW01665 宮澤 俊雅 RE:濁音の原形は? ( 9) 99/11/29 04:11 01471へのコメント > 日本書紀の音訳においては漢字の全濁音字が使われている 日本書紀では日本語の濁音に漢字の全濁音字が使われている、と 解しておられるなら、それは誤認です。 日本書紀では日本語の清音に漢字の全清・次清・全濁音字が、濁 音に次濁音字が使われています。 →(『ことばと文字』p144−145) 『ことばと文字』p146 は、例外的に濁音に全濁音字が宛て られた理由を論証している部分です。 当時の中国語は、全濁音字が次清化し、次濁音字が鼻濁音化して いたと考えられています。 日本書紀α群濁音仮名 我峨鵞(nga) 蟻(ngie) 擬(ngiэi) 虞遇(ngiu) 皚碍(ngэi) 吾娯(nguэ) 御(ngiэ) 娜(nda) 嚢(ndang) 泥(ndei) 怒(ndua) 磨魔麼(mba) 弭弥(mbie) 寐謎(mbiei)) 弐膩(riei) 児(rie) 珥(riэi) 孺儒(riu) 茹(riэ) 豆逗(dэu) 提(dei) 父(biu) mbiu の字無し 蔵(dzang) 噬(ziai) ra riai の字無し 日本書紀の音訳においては原則として清音(カサタハ行)に漢字の 無声子音(全清・次清・全濁)の字が、濁音(ガザダバ行)及び鼻音 (ガナマ行)に鼻濁音(次清)の字が使われているので、720年の時 点で濁音は、『A.「わたり音」が後続の子音の前に付く』音であ ったとも『B.声帯振動の有無(有声か無声か)』による音であっ たとも考えることができる。 日本語 音訳 中国語 A /ta/ [ta]([tta]) →[ta] [ta][t`a] /Nta/[nda]([nta]) →[nda] [nda] /na/ [na]([nna]) →[nda] B /ta/[ta] →[ta] [ta][t`a] /da/[da] →[nda] [nda] /na/[na] →[nda] 日本語 借用 アイヌ語 A /ta/ [ta]([tta]) → /ta/ /ta/ [ta] [da] /Nta/[nda]([nta]) →/-n ta/ /-n ta/[-nta][-nda] /na/ [na]([nna]) → /na/ /na/ [na] B /ta/[ta] →/ta/ /ta/[ta][da] /da/[da] →/ta/ /na/[na] →/na/ /na/[na]
01522/01522 GGB03124 たけ(tk) RE:濁音の原形は? ( 9) 99/12/05 16:08 01482へのコメント 宮澤 俊雅 さん、こんにちは、熊谷です。レスありがとうございました。 》 日本書紀では日本語の濁音に漢字の全濁音字が使われている、と 》解しておられるなら、それは誤認です。 その様でした。ご指摘ありがとうございました。 日本語の濁音の音訳に 適する 適さない (有声濁音に適する) 中国語の全濁音字 → 次清化 (渡り濁音に適する) 鼻濁音化 ← 次濁音字 の両方が使われているわけですね。 》 父(biu) mbiu の字無し この「mbiu の字無し」というのが重要なのですが、 シロウトには手がで ない部分ですね。(電子化されたデータベースがあれば簡単なのだが・・)。 −− 魏志倭人伝でまとめると次のようになりますが、中国語の音自体に変化が あるので、どうにも結論が出ませんね。 【上古音に濁音的要素のある漢字】 ──────────────────────────────── 字 上古音 中古音 韻 推定 群:用例。備考 C V C V CV ──────────────────────────────── 大 d ar d a DA1 (一大国) 台 d ∂g d ∂i 灰 DE3 1a:邪馬台国、台与。 投 d ug d ∂u 候 DO4? 1a:投馬国。 已 d i∂g y iei 之 YI3? 2a:已百支国。イ:やめる。YE/YI 惟 d iu∂r y iui 脂 YI2 2a:支惟国。ユイ、p.476。YI/YU 掖 d iak y iεk -k YAk? 4b:掖邪狗 市 dh i∂g z Iei 脂 ZI3? 4b:都市牛利 耆 dh ier z ii 脂 ZI2 4b:伊声耆。たしなむ・致す 耆 g ier g ii 脂 GI2 4b:伊声耆(-ng gii)。老いる・老人 渠 g Iag g Io 魚 GO2 1b:柄渠觚(-ng gIo)。濁音先行 吾 ng ag ng o 模 GO1 2a:為吾国 牛 ng Iog ng I∂u 尤 GU2 4b:都市牛利 邪 ng iag z ia 麻3 ZA2 2a:伊邪国、邪馬国、掖邪狗、邪馬台国。 臣 gh ien z Ien -n ZEn 2a:躬臣国。弁 bIan-bIεn がベ甲、 {凹/儿} ? z ii 脂 ZI2 1b:ジ馬觚 【中古音に濁音的要素がある漢字】 ──────────────────────────────── 字 上古音 中古音 韻 推定 群:用例。備考 C V C V CV ──────────────────────────────── 馬 m ag (mb a) BA1 (対馬国) 米 m er (mb ei) BE1 (難升米) 模 m ag (mb o) BO1 (多模) 謨 m ag (mb o) BO1 (泄謨觚) 母 m u∂g (mb ∂u) BU1 (卑奴母離) 末 m uat (mb uat) BAt (末盧国) 那 n ar (nd a) DA1 (彌彌那利) 難 n an (nd an) DAn (難升米) 奴 n ag (nd o) DO1 (鬼奴国) 大 d ar d a DA1 (一大国) 台 d ∂g d ∂i 灰 DE3 1a:邪馬台国、台与。 投 d ug d ∂u 候 DO4? 1a:投馬国。 吾 ng ag ng o 模 GO1 2a:為吾国 牛 ng Iog ng I∂u 尤 GU2 4b:都市牛利 耆 g ier g ii 脂 GI2 4b:伊声耆(-ng gii)。老いる・老人 渠 g Iag g Io 魚 GO2 1b:柄渠觚(-ng gIo)。濁音先行 邪 ng iag z ia 麻3 ZA2 2a:伊邪国、邪馬国、掖邪狗、邪馬台国。 市 dh i∂g z Iei 脂 ZI3? 4b:都市牛利 臣 gh ien z Ien -n ZEn 2a:躬臣国。弁 bIan-bIεn がベ甲、 耆 dh ier z ii 脂 ZI2 4b:伊声耆。たしなむ・致す {凹/儿} ? z ii 脂 ZI2 1b:ジ馬觚 ふーむ。ガ行に関しては渡り濁音であった可能性が高そうだ。「為吾国」 の「吾」、「都市牛利」の「牛」は上古音、中古音とも「ng-」子音である。 「伊声耆」の「耆」、「柄渠觚」の「渠」は文字単体では「g-」音であるが、 その前の文字の韻尾が「-ng」であるので(※)、 渡り濁音を表現している 可能性が高い。 ※ 「伊声耆(I∂r thieng gier/上古)」。 ※ 「伊声耆(Ii ∫Iεng gii /中古)」。 ^^^^ ※ 「柄渠觚( pIang gIag kuag/上古)」。 ※ 「柄渠觚(pIΛng gIo ko /中古)」。 ^^^^ * 『倭人の登場』p.198 も参照のこと。森博達さんは、この先行文字の 「-ng」を 「全濁音・・字の頭子音のきこえを強めている」ものと理解 し、「中国語の「全濁音」の有声(濁音)要素が果たして倭人語ほど顕 著であった問題がある」としている。 熊 谷 秀 武 http://member.nifty.ne.jp/take_tk

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