『「が」は「んか」だった』

たけ(tk)GGB03124@nifty.ne.jp談話室

2000-05-13(土):森さんの引用部分を変更。
2000-04-29(土):公開
1999/11/27 :ニフティ(nifty:FNIHONGO/MES/09/1471)で議論していた。

魏志倭人伝(3世紀)の音訳漢字をみると、倭人語のガ行は鼻濁音「ng-」 であったと見てよいのではないか、という見解です。 もっとも、8世紀頃(日本書紀の頃)の日本語のガ行が鼻濁音 「ng-」だ ったというのは常識的な見解だったようです。『ことばと文字』p.144 の表 を見ると、日本書紀のα群の文字の分析から中国語の「群: g」音字は日本 語の「K」行に使われて、濁音「G」には使われていない。中国語の「疑: ng」音字だけが日本語の「G」行の音訳に使われている。と読めそうです。 ただし、森博達さんは『倭人の登場』p.198 で、本稿で問題にしている先 行文字の「-ng」を 「全濁音<群>母(g-)字の頭子音のきこえを強めている」 ものと理解し、「この事例によれば、全濁音字が場合によっては倭人語の清 音を表すのに使われた可能性がある」(「中国語の「全濁音」の有声(濁音) 要素が果たして倭人語ほど顕著であった問題がある」)としています。した がって、森さんは「先行の -ng は倭人語の鼻濁音」を示すため、 という見 解ではなさそうです。(2000-05-13(土):引用部分変更)  * むむ?。「倭人語の清音」ということは「んか」説なのか?。2000-05-13(土) * 専門用語が入っているので、後でもう少し簡単にします。
【魏志倭人伝での「ガ行」の漢字】 ──────────────────────────────── 字 上古音 中古音 韻 推定 群:用例。備考 C V C V CV ──────────────────────────────── 耆 g ier g ii 脂 GI2 4b:伊声耆(-ng gii)。老いる・老人 渠 g Iag g Io 魚 GO2 1b:柄渠觚(-ng gIo)。濁音先行 吾 ng ag ng o 模 GO1 2a:為吾国 牛 ng Iog ng I∂u 尤 GU2 4b:都市牛利 ──────────────────────────────── 魏志倭人伝で使われている「ガ行」の漢字は上記の四個です。 * 全体の一覧は『魏志倭人伝の音訳漢字から当時の50音図を推定する』 このうち、「吾」と「牛」とは渡り濁音と思われる「ng」子音の漢字が使 われています。 「耆」と「渠」とには全濁音と思われる 「g」子音の漢字が使われていま す。しかし、実際の単語を見ると、 「伊声耆」の「耆」の前の文字「声(thieng ∫iεng)」も 「柄渠觚」の「渠」の前の文字「柄(piang piΛng)」も 終端子音が「ng」となっており、「-ng g-」という形で全濁音文字が使われ ていることがわかります。 【伊声耆】 ──────────────────────────────── 伊 . i∂r . ii 脂 YI2 4b:伊声耆 声 th ieng ∫ iεng -ng SEg 4b:伊声耆(-ng gii)。濁音先行 耆 g ier g ii 脂 GI2 4b:伊声耆(-ng gii)。老いる・老人 ──────────────────────────────── 【柄渠觚】 ──────────────────────────────── 柄 p iang p iΛng -ng PEg 1b:柄渠觚(-ng gio)。濁音先行 渠 g iag g io 魚 GO2 1b:柄渠觚(-ng gio)。濁音先行 觚 k uag k o 模 KO1 1b:ジ馬觚、泄謨觚、柄渠觚・・。平声。 ──────────────────────────────── このことから、たけ(tk)としては、倭人語のガ行は渡り濁音であったと考 えます。 渡り濁音であれば、本来は「nk」であった可能性が高いと思います。

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